「専業主婦は家事をすることが当たり前?」「共働きであっても、女性側に家事の負担が大きくなりがちなのはなぜ?」といった疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。近年、働き方改革が進み、時代の流れによってライフスタイルも大きく変化しています。共働きを続けるためには、どちらか一方が家事を負担するのではなく、男女がお互いに協力して家事を分担することが必要です。
日本では、どうしても女性の家事負担が大きくなりがちです。また、共働き夫婦が家事を分担しようとする場合の問題点や課題にも目を向けなければいけません。本記事では、統計で見る家事分担の実情や、円満に家事を分担するための具体的方法について、また、家事の価値を金銭に置き換えた場合の数値などをご紹介します。
さらに、女性が家事をやってほしいと切実に思うタイミングはいつなのか、どういった内容が求められているのかといった内容も併せて紹介し、夫婦の本音に迫ります。
夫婦がお互いに家事を分担することの大切さを知り、夫婦円満に生活する方法を考えるためにも、ぜひ本記事をお役立てください。
内閣府が行った「平成21年度(2009年度)インターネット等による少子化施策の点検・評価のための利用者意向調査」では、満20歳〜49歳の既婚者に「家事・育児の分担の満足度」を聞いています。それによると、「満足している」「どちらかといえば満足している」を合わせた「満足度」は、男性で80.4%、女性で61.6%という結果が出ています。男性に対して、女性の満足度が約20%も低い原因が気になるところですが、さらに興味深いデータがあります。次の表をご覧ください。
先の調査を、夫婦の家事・育児の役割分担別に見たもので、分担割合によって満足度がどう変化するのかを男女別に調査しています。
それによると、男性では、夫の分担が4割までは、分担の割合が高くなるほど満足度も高くなり、「夫4割、妻6割」で86.5%と最も高い満足度となるものの、夫5割以上になると男性の満足度は減っていきます。
一方、女性では、夫の分担の割合が2割から満足度が高くなっていき、「夫3割、妻7割」で82.2%、「夫4割、妻6割」で94.3%、「夫5割、妻5割」で95.6%と夫の分担が5割まではぐんぐん上がっていくものの、「夫6割以上、妻4割以下」になると、満足度は72.0%とガクンと下がります。
男女ともに家事・育児の分担を行っているものの、その割合については「夫5割、妻5割」が必ずしも理想形ではない様子が調査から垣間見られます。
上記の調査は、家事分担の実態を「満足度」の観点から分析したものですが、「時間」の観点から分析するとどうなるのでしょうか?
「男女共同参画白書 平成29年版(2017年版)」には、「6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり、国際比較)」の表が掲載されています。それによると、日本人の場合、妻の家事・育児関連時間が7時間41分なのに対して、夫は1時間7分しかありません。これは、米国の2時間53分(夫)、スウェーデンの3時間21分(夫)など、諸外国と比較しても圧倒的に低い数値です。
1時間という短時間で、できる家事には限りがあります。朝食や夕食の準備や片付け、洗濯、掃除、子どもの送迎など、一口に家事・育児といってもさまざまありますが、1時間で複数をこなすのは難しいといえるでしょう。
しかし、世の中の流れとしては、男性の家事・育児参加を推進する風潮が高まっています。
1993年には中学校で、1994年には高校で、それぞれ家庭科が男女必修科目となっています。また、男女共働きの世帯が増加したこと、核家族化が進んだことから、家事・育児は夫婦で支え合って行うものと考えられるようになりました。
企業もワーク・ライフ・バランスについての取り組みを進め、男性の育休取得を促す取り組みも進んでいます。実際に、男性の育休取得率(出産時特別休暇制度など)100%を実現したり、子どもの学校行事出席のための有給取得が行われたりしている企業も存在します。さらに育休だけでなく、在宅勤務の推進も見逃せないポイントです。男性が育児をしながら自宅で仕事をするといったケースも徐々に増え、柔軟な働き方が認められるようになってきました。
また、男性側からも「積極的に家事・育児に参加したい」「家族と一緒に過ごす時間を大切にしたい」といった気持ちの変化に対する声が上がっており、イクメンの言葉も、単なる流行語ではなくなりました。
現状では、まだまだ女性側の負担が大きいものの、男性側にも「家事を分担したい」といった意識があることが分かります。
次の章では、お互いに助け合いたいと思っているにもかかわらず、家事分担がうまくいかない理由について見ていきましょう。
お互いに家事を分担したいとの気持ちがあるにも関わらず、共働き夫婦が気持ちよく家事を分担できない理由は何なのでしょうか。まずは、男女別に見ていきましょう。
いくら夫婦といえども価値観や考え方は人それぞれ異なるものです。夫婦だから言わなくても分かっていると思わずに、家事の分担についても、会話をよくするなどコミュニケーションを取ることでお互いの考えを伝え合い、解決していく姿勢が大切なのではないでしょうか。
会話、コミュニケーションと言われても、何から始めればいいのか分からないという方におすすめの方法は、お互いにとってメリットが実感できるWin-Winの関係をつくることです。そのためには、事前準備と交渉のコツを知っておく必要があります。
一つ、例をご紹介しましょう。
家事分担の話し合いは、一つずつ段階を踏むことが大切です。そう考えると、それほど難しいものではないと感じた方も多いのではないでしょうか?
内閣府では、家事や育児の分担について話し合うための「夫婦が本音で話せる魔法のシート”○○家作戦会議”」を作成して配布しています。家事・育児の理想の割合を話し合うためのシートや、未来を考えるためのシートなど会話のきっかけとして活用するのもおすすめです。このシートを使いながら、夫婦で家事の分担について話し合ってみるのもよいでしょう。
家事分担の話し合いの際に出てくる意見の一つに、「個人の月収を考慮すべきか」という内容があります。例えば、夫婦共に正社員やフルタイム勤務であっても、月収の額が同じとは限りません。
現在、家事にかかる労力を金銭化して価値判断しようという意識やレビューが流行っています。一度、一日の食事作りを金銭化してみるというのも、面白いのではないでしょうか。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」から算出した2011年のデータによると、調理師や調理師見習いの平均時給は、1,163円です。朝食、昼食(お弁当)、夕食といった一日のトータル調理時間を2時間と仮定して、食事作りの労力を計算してみましょう。
1年365日とした場合
1,163円×2h×365日=848,990円(約85万円/一日あたり2,326円)といった計算式ができあがります。料理だけでも、年間約85万円分の労働です。
また、内閣府がまとめた推計「家事活動等の評価について〜2011年データによる再推計」によると、食事作りも含めた専業主婦の無償労働評価額は304.1 万円であり、兼業主婦の無償労働評価額は223.4 万円となっています。
「月収に応じて家事の分担比率を変えるべき」と言われた場合は、これらのデータを参考にして話し合いをすることもできます。一般的には「家事=無償労働」と捉えられがちですが、無償だからといって価値がないわけではありません。
給与の金額だけに縛られることなく、家族が円満に生活するためにはどうすればよいのかといった観点から、話し合いに持っていくことが重要なのです。
女性側からすると、「自主的に家事をしてほしい」「少しの量で手伝った!と言われるのは不満」など、さまざまな思いがあることでしょう。しかし、「もっと手伝ってほしい」「自主的に家事をして」などと伝えるのは逆効果です。
なぜ?と思った方は、最初に「家庭=職場」「家事に慣れていない夫=新入社員」とイメージしてください。
といった点は、新入社員教育を経験した人にとって心当たりがあるのではないでしょうか。
最初は、上司の言うことを聞き、指示を忠実に行うことからスタートするものですが、いつまでも指示待ちでは、成長が感じられません。これを家庭に当てはめると「自主性がない家事=単なるお手伝い」といえます。
など
言われたことだけをする、自分が好きなこと(興味があること)だけをするといった家事は、お手伝いの域を出ることはありません。
また、指示がなければ動けない夫のままでは、妻が病気になったときに困ります。
そもそも、妻が家事を手伝ってほしいと思うときは、どんな状況なのでしょうか。
例えば、
など、単なるわがままとは言えない状況のときがほとんどです。もし夫だったら、とても「会社に行けない」「仕事ができない」と思うようなときに、妻は家事を手伝ってほしいと考えているのです。
家事・育児の分担については、一方的に押し付け合うのではなく、日々変わる相手の体調や状況を見ながら、夫婦がお互いに思いやりを持って助け合うことが何よりも大切です。困ったときはお互いさまという共通認識のもと、日ごろから家事・育児の分担について夫婦で気軽に話し合えるといいですね。
「家事を手伝ってほしい」とお願いしたものの「無理」「できない」と断られてしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
そこで諦めてしまっては、先に進むことができません。まずは順を追って、問題解決を目指しましょう。
家事ができない、苦手だからしたくないと男性が答える理由として、
といった内容が挙げられます。
例えば、残業が多い場合は、休日の家事分担から話を進めてみましょう。二人で分担することで家事が早く終わり、夫婦の時間がつくれることを伝えるなど、メリットをアピールするのもおすすめです。
さらに、家事の時短や簡略化に役立つ商品の活用や、簡単に家事ができる仕組みについて話し合ってもいいでしょう。
例えば、
苦手な家事 | 解決策 |
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料理 | レシピと食材がセットになった「ミールキット(食材宅配サービス)」を活用する。下ごしらえ済みの食材を使って、レシピ通りに作るだけなので、料理の経験が少なくても簡単に作れる。夫と妻、双方にとって便利な商品 |
掃除1 | 「ついで掃除」を実践する。歯を磨いた後の「ついで」に洗面台を洗う、入浴後の「ついで」に、浴槽を洗うなど、「ついで」に掃除をすることで、心理的負担が減らせる |
掃除2 | 使いやすい掃除アイテムを一緒に買いに行き、掃除に対する夫のテンションを上げる。道具に凝るタイプの男性にはより効果的 |
上記のようなアイデアを積極的に取り入れてみるのもよいでしょう。
また、夫婦共働きであれば、自由に使えるお金も必然的に多くなります。そこである程度資金に余裕がある場合は、便利な家電や家事支援サービスを積極的に利用するのもおすすめです。
乾燥機付き洗濯機や食器洗い乾燥機を使うことで、干したり、洗ったりといった作業を省くことができます。掃除ロボットや拭き掃除ロボットなどをうまく使いこなすことでリビングやキッチンの掃除はずっと楽になるでしょう。
さらに、食材宅配サービス、代行サービス(買物・掃除・料理など)といった、家事支援サービスをうまく使うことで、時間を有効活用することができるでしょう。
「お互い仕事で疲れているのにイライラ」「部屋が片付いていないからとけんか」といった事態は避けたいものです。そのためにも、家事の分担は、完璧を求めすぎないことも大切です。また、お互いが歩み寄り、できる範囲で協力し合うこと、難しい場合はミールキットなど家事の時短に役立つ商品や、プロのサービス、家電の力などを借りることで、負担が減らす方法を夫婦で考えてみてはいかがでしょうか。
家事の中で、毎日欠かせないものといえば料理です。「外食やインスタントフードに頼りたくないけれど、ゆっくり料理をしたり買い物に行ったりする時間がない」という人におすすめしたいのが、ミールキットです。
オイシックスでは、主菜と副菜2品が20分で作れる「Kit Oisix(ミールキット)」を商品化しています。人気シェフや料理研究家が監修したレシピと各メニューに必要な食材が、必要な分量だけ入っています。献立を考える必要がないだけでなく、買い物に行く手間も省けます。
「夫が料理を作るきっかけに役立ちそう」「時短料理に取り組みたい」など、ミールキットが気になった方は、ぜひ一度、2人前の「Kit Oisix(ミールキット)」とオイシックスの野菜などが入った「Kit Oisixおためしセット(旬の食材つき)」を注文してみてはいかがでしょうか。